エッセイというものを書いてみました

この秋、川越に住む知人からさつまいもをいただいたので、そのお礼状を書こうと、はがきに絵をかいてみた。

描いた絵のさつまいもの色をみて、何かに似ていないか?とつぶやいた。

そうだ、早稲田カラーに似た色だ。急に親近感がわいてきた。

見た目はごつごつとして、土の汚れもあり不格好だが、蒸かすと中はほくほくとして、中身は鮮やかな黄色に輝き、甘くておいしい。

なんか、早稲田らしい気がしてきてうれしくなった。

 

それにしても、今年の秋は変だ。暑い日もあれば、寒くてもう冬が来たかと震える日もあり、そのたびに着るものを出したりしまったり、忙しい。

昔は、どっぷりと秋を満喫する日が長かったように思う。

 

シンガポールに暮らしていた二十代のころ、日本の秋を懐かしく思うことが度々あった。

一年中半袖シャツ一枚で過ごしている現地では、日本のような四季を感じることができない。周りの木々や花、人の服装などで季節の変化を感じないため、まったりと一年を過してしまう。

日本の春や冬ではなく、秋を懐かしく思うのはなぜだったのだろう。

暑い暑い夏をやり過ごし、寒い冬を迎えるまでに、紅葉や枯れ葉に物悲しい感傷を抱きつつ、その一方で味覚を楽しむことのできる秋はできるだけ長く過ごしていたい。

この時期、テレビでお節料理の宣伝がめだつが、やめてほしい。まだ今年は終わっていない。まだまだ、秋を満喫したいのだ。

 

2023年11月25日 小林和雄